八王子時間インタビュー

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Hachioji Jikan Interview 懐かしさと新しさが心地よいふと帰りたくなる故郷、八王子。

八王子で生まれ育ち、圧倒的に“高尾山派”でした。

八王子は思い出深い場所です。生まれたときから、ゴスペラーズとしてデビューした1年目まで住んでましたね。小学校に上がるまでは、めじろ台と高尾の間にある狭間という京王線の駅の近くのマンションに住んでいまして、途中で恩方に引っ越しました。数年前に実家がまた引っ越したので、今は西八王子に実家があります。


子供の頃の思い出といえば、高尾山ですね。高尾山は八王子市民の基本じゃないですか。子供でも登りやすいし、沿道にあんなに出店があるのは高尾山くらいです。しかも、ケーブルカーで半分まで登れます。僕はケーブルカーがすごく好きで、登ったところに、昔はスナックとかを売る出店があって、そこのアメリカンドッグが一番好きでしたね。1年に何度も行ってたなぁ。 その後、恩方のほうに引っ越すと、今度は陣馬山のほうが近くて、陣馬山に行ったりもするようになったんですが、沿道好きの僕としては、陣馬山はなんだかそっけなく思えてしまって(笑)。自然は好きだけど辛い山道は苦手だったので、陣馬山の近くに住んではいたんですけど、圧倒的に高尾山派でしたね。

自転車で八王子駅まで通い、青春時代を謳歌しました。

高校時代、大学時代を過ごしたのは、恩方に住んでいた頃です。恩方という場所は、童謡の『夕やけ小やけ』の歌詞に出てくる鐘のモデルになったといわれる宝生寺の近くにあって、八王子の中でもかなり山間というか、田舎だったんですよ。八王子駅前に行くことを「町に行く」っていっていたくらいですから(笑)。 ちょうどその頃、八王子駅前に丸井ヤング館ができたんですよ。当時から僕はジャケットファッションが好きだったんですけど、それまで八王子には僕の好きなDCブランドの洋服は売っていなくて。駅周辺のブティックに行っても売ってない。だから、丸井ができたのがすごくうれしくて。「八王子もここまできたか!」と思いましたね(笑)。それで、まあ高校生の頃は小遣いも少ないし、通っていた学校が厳しくてバイトもできなかったので、洋服を買うお金なんてなかったんですけど。自転車で行きは30分ちょっと、帰りは坂道が多かったので40分ちょっとかけて「町に行って」、買い物したり、駅前の書店で立ち読みしたり、「マイアミ」でピッツァを食べたりしていました。

ゴスペラーズ 黒沢薫さん写真

僕の音楽の基礎に八王子中央図書館が…。

歌には昔から興味がありました。ただ、高校生のとき、学校に行くのがいやな時期がありさぼってばかりいたんです。お金がないので八王子中央図書館に行っては視聴覚室で音楽聴いていました。その時に僕の音楽のベースができたのかも(笑)。当時、山下達郎さんの『ON THE STREET CORNER Vol.1,2』を聴いて、アカペラのすばらしさに感動しました!

高校3年の時に村上(リーダー/村上てつや)に誘われて、アカペラで音楽活動をはじめたんです。それがゴスペラーズの基盤となり今に至るわけです。 デビューして1年くらいまでは八王子から通っていたので、もう最後のほうは毎晩、深夜バスで帰る感じでしたね。深夜までレコーディングをして、新宿駅前から深夜バスで八王子駅まで。でも最寄りは西八王子駅だったので、そこからが大変でしたよね(笑)。お金はないですけどタクシーに乗ったりして何とか帰宅してました。それで、西早稲田で一人暮らしを始めたわけなんですけど。だから、八王子駅が悪いわけじゃないんですよ。八王子は新宿に行くにも、渋谷に行くにもアクセスはいいし。でも残念なことに、僕の住んでるところはまたさらに遠かった(笑)。

最近の八王子は、昔に比べてモダンになりましたよね、駅前にいろいろお店も増えて。同時に、中央線文化を受け継ぎ続けているのも魅力だと思います。中央線文化の一番端のほう、というか、八王子までは中央線文化があるんです。おもしろい店も多いですし。そのひとつが喫茶店。僕はウッディーだったり、ちょっと照明が暗かったりして、コーヒーもわりと苦めのフレンチローストのコーヒーを出してくれるような喫茶店がとても好きなんですけど、最近はカフェスタイルのお店が増えてしまって…。

中学のときに通っていた塾の先生が、たまにごはんを食べに連れて行ってくれたインドカレーがおいしい喫茶店が八王子駅前にあって、そこで僕は文庫本を読みながら、ケーキ食べてコーヒー飲んで、ちょっと大人、みたいなことをするのが好きでした。そんなタイプの喫茶店が八王子あたりにはまだあると思いますね。

おいしいカレーを食べに八王子に立ち寄りたいです。

僕がはじめて喫茶店に入ったのは狭間駅前の喫茶店で、そこのカレーがすごい大人な感じがして、よく覚えてます。野菜はあまり入っていなくて、子供心にちょっと苦みがある気がしました。たぶん苦味はないんでしょうけどね(笑)。

「やっぱ外のカレーうまい!大人だ!今僕は大人だ!」って。 僕はカレーをライフワークに各地のカレーを食べ歩いたり、カレーの本を出したりしています。カレーの原点はいくつかあるんですけど、狭間駅前の喫茶店のカレーは、その原点に近いですよね。僕が大人っぽいカレーを作ろうと思って作る味に、あの喫茶店の味が影響を与えているのかもしれません。

八王子近辺にはカレー屋多いですね。先日、親が新聞の切り抜きをFAXしてくれて(笑)。富士森公園近くのこれく亭というカレー屋さんで、スパイスがちゃんと効いたおいしいパキスタン風のカレーでした。八王子駅北口の、昔、松竹劇場があったあたりに、竹中直人さんが学生時代に通っていたカレー屋さんがあるらしいので、行ってみたいですね。忙しくて八王子に行く機会も前より減りましたが、八王子には友達も多いので、ちょくちょく顔を出したいですね。

大好きな鈴木雅之さんから多くのことを学びました。

今年はゴスペラーズとしては、夏前までの約半年間、日本全国を巡るライブツアーをやって、夏は鈴木雅之さんとのユニット、エナメル・ブラザーズをやって、秋にはまたゴスペラーズをやってと、僕としては全然休んでいるイメージがなかったですね。

この夏、鈴木雅之さんとやったエナメル・ブラザーズは印象深かったです。僕は鈴木雅之さんのことが大好きで、そんな敬愛するアーティストとガッチリぶつかっていくユニットをやれたら楽しいなって思っていたので、それがやれてすごくよかったし、一緒にいるだけですごく色々なことを勉強させてもらえました。それが全部自分の中に入って、また何かの形で、今度は僕が恩返しさせてもらえればと思ってます。

ゴスペラーズ 黒沢薫さん写真

合唱コンクールの課題曲を制作し、考え方にもよい影響がありました。

先日発売したシングル「It Still Matters〜愛は眠らない/言葉にすれば」は両A面です。「It Still Matters〜愛は眠らない」はバックストリート・ボーイズのHowie D.とコラボレートしたものです。Howie D.が気さくで、お互いに楽しく作業でき、いい仕上がりになったと思っています。

「言葉にすれば」は、NHK全国学校音楽コンクールの今年度の高等学校の部の課題曲として、ゴスペラーズが提供した曲で、それをゴスペーズ流に新たに解釈して歌いました。

高校生たちが歌ってくれた「言葉にすれば」のオリジナル合唱バージョンは、すごい複雑なアレンジメントになっていて、僕らの歌うバージョンのほうが、僕らにしてみればラクっていうくらい色々やっていて、自由曲もさまざまな要素が重なっていく。今回の楽曲提供をきっかけに、「ああ、合唱もいいじゃん」って、だいぶ考え方も変わりましたね。互いに影響を与え合えたのもよかったですね。

11月28日にはニューアルバム、12月にはDVDと、年末にかけて怒濤のリリースをしたら、来年もアルバムを作る予定で、実はもう次の曲とかも録り始めたりしてます。来年はゴスペラーズとしてより精力的に活動したいと思ってるんですよね。

黒沢 薫 Kaoru Kurosawa

ミュージシャン。八王子出身。「永遠(とわ)に」や「星屑の街」など数々のヒット曲で知られるヴォーカル・グループ「ゴスペラーズ」の一員。ソロ活動や鈴木雅之さんとのユニット「エナメルブラザーズ」など、幅広く活躍中。

ゴスペラーズ写真01

「The Gospellers Works」

ゴスペラーズがこれまでにカヴァーした曲や個々にソロで参加したコラボ曲など集めた初コンセプトアルバム。「Stand By Me」をはじめ、名曲ばかりを収録した全17曲。

ゴスペラーズ写真02

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